数年後を見越した研究開発を行なうパナソニックの中国拠点の役割
貴社事業についてお聞かせください。
八田 和洋 氏(以下、敬称略):
パナソニックR&Dセンター蘇州では、照明や空調、冷蔵庫といった、家電・住宅領域における事業の技術開発を行っています。
変化の大きい中国市場では、商品単体の販売ではなく、どのようなソリューションが提供できるかが重要になってきており、そうした需要の変化や市場調査が重要です。また、日本と比べてIoTといった最新技術の開発が進んでおりますので、そうした技術を取り込んでいくこともミッションになっています。
担当されているお仕事についてお聞かせください。
八田氏:
もともとは照明機器の研究開発を行なっていましたが、現在は2020年の4月に設立された先行開発室にて、技術開発や市場のリサーチといった業務を行なっています。中国市場の動向や最新技術をリサーチし、そこに対して我々がどう対応していくのかを考えていくことがミッションでして、短期的な商品開発を行っているのではなく、数年後を見越した研究開発を行なっています。
同じチームの日本人は私1人でして、残りが中国人メンバーが7名です。基本的には技術職のメンバーで構成されています。
信頼性に欠ける現地の情報収集
「Speeda」を導入いただく前は、リサーチ業務はどのように行われていたのでしょうか。
八田氏:
大きく3つあります。まず1つが、百度(Baidu)といった現地のブラウザサービスを使って直接調べる方法です。
2つ目が現地のローカルメンバーにお願いして、中国特有の人脈を活用したアナログな方法で調べる方法です。まだまだ中国の企業にはWebサイトを持たない企業も多く、オフラインでないと調べられないケースも珍しくありません。
3つ目が現地の調査会社に調査を依頼する方法です。ただ、この方法は情報の信頼性に問題がありました。すべてではないのですが、調査会社さんによっては「欲しいデータを作り上げますよ」と提案してくる場合もあったのです。商品の重要度調査のような大事なデータを捏造することはできませんので、当然お断りしました。
マクロ視点の情報収集とリサーチ業務の効率化に課題感
リサーチ業務を進める上でどのような課題があったのでしょうか。
八田氏: 中国全体のトレンドといった、マクロ視点の情報ソースが現地には少ないことがまず1つです。日本で調べたほうが、中国全体の情報が手に入りやすいのではと感じます。やはり、百度(Baidu)といった現地のブラウザサービスの検索結果は偏っている印象があり、公平性という観点ですごく怪しいのです。
一方で、中国ではそもそもWebサイトが整備されていない企業も多く、情報へのアクセスが限定されていることもあり、求めている情報に辿り着くまでに膨大な時間がかかるか、そもそも辿り着けないこともあります。実は中国企業がしっかりWebサイトを作っているのはグローバル企業くらいです。中小企業ではほぼWebサイトがありません。
毎月のレポートとサポート対応が導入の決め手に
「Speeda」導入のきっかけをお聞かせください。
八田氏:
きっかけは偶然でした。2018年頃にユーザーベースさんが主催した、中国に駐在している日本人向けの懇親会に参加したことで知りました。その頃に感じていたリサーチにおける課題を相談した結果、「Speeda」がマッチするのではと紹介いただいたのです。
中国で展開されている、私たちの課題を解決できそうな調査会社やデータベースは当時なかった認識ですので、他社比較は行なっていません。
本導入前のトライアル実施について教えてください。
八田氏:
トライアル期間は3週間ほどです。先行開発室に所属する7名の中国人スタッフや十数名の駐在者全員に使ってもらい、フィードバックをもらいました。
トライアルの結果、社内からは良い反応が得られました。「サイトの表示スピードが早い」「Webサイトが見やすい」「情報の質がすごく高い」といったコメントをもらっています。特に、毎月配信されるレポートとカスタマーサクセスによるサポート対応が決め手となり、導入を決定しました。
導入決定後は、現地に駐在している日本人の方々に直接訪問していただき、「Speeda」の使い方をレクチャーいただけました。
分からない情報はまず「Speeda」で検索
現在の「Speeda」活用シーンをお聞かせください。
八田氏:
仕事の中のさまざまなテーマを調べていく中で情報が足りなければ、とりあえず「Speeda」ですぐ調べる習慣がついています。平均すると、1日に1, 2回は必ず使っていますね。
カスタマーサクセスへのお問い合わせも、かなり活用しています。例えば、新しい商品を考えたり、新しいシステムやソリューションを企画する際に、他社動向や中国市場の裏付けを調べる際にご依頼しています。
また、毎月の中国市場に関するレポートは、中国市場を知るうえで重宝しています。中国にいながら、リアルさを感じる情報が詰まっていると思います。
ちょっと変わった使い方としては、ふらっと「Speeda」を閲覧して新しいトピックスやニュースに触れて、新しいアイデアにつなげるようなことも行なっています。
「例えるならば我々の『情報調査室』のような存在」
導入後のご感想をお聞かせください。
八田氏:
第一印象として、「新しい情報検索の方法だな」と思いました。いろいろな情報ソースが中国にある中で、「Speeda」という1つの窓口から網羅的に検索できるので、すごく時間が短縮できています。それこそ、求めている情報は「Speeda」でほとんど得られるのではないでしょうか。なかなか出てこない情報も、お問い合わせやカスタマイズドリサーチで専属コンサルタントの方に頼めば手に入ります。
例えるならば我々の「情報調査室」のような存在でして、すごく頼もしい存在だと思っています。
社内や現地のローカルスタッフからのご感想をお聞かせください。
八田氏: 私と同じような感想を持たれている方が多いと思います。リサーチ業務が早くなったこと、網羅的に情報が得られること、そして中国市場を大きなトレンドで理解できるようになったと聞きました。また、現地のローカルスタッフもしっかり活用できているようです。
効率化に課題があったとのことですが、具体的にどのくらいのリサーチ業務の時間が削減されましたか。
八田氏: 時間に余裕がある土曜日に丸1日かけて調べていたようなトピックスが、1〜2時間くらいで調べられるようになりました。具体的には、競合他社の状況や売上規模といった情報です。
「Speeda」を活用するなかで印象的なエピソードがあればお聞かせください。
八田氏: 現地のサプライヤーさんやベンダーさんとお会いする前には、「Speeda」で事前に調べてからお会いするようにしています。主に売上規模やその推移、最新のトピックスも調べています。そうすると話も弾みますし、戦略立ててお話ができます。そうした交流後に、どの企業と組むべきかを検討する際にも「Speeda」を活用しています。
オンラインとオフラインの情報を掛け合わせ、新しい事業を展開していく
今後の事業展望についてお聞かせください。
八田氏:
中国のライフスタイルの変化を受けて、特に住宅領域の新しい展開を考えています。中国と日本の良いところを合わせた技術によって、新しい商品やソリューションを展開していきたいです。その新しい事業展開を企画していくうえで、「Speeda」で得られる情報を積極的に活用していきたいと考えています。
やはり中国市場の変化はとても早いなと感じていますし、オンライン上では情報が整理されていないイメージがあります。「Speeda」によるオンラインリサーチと、現地で実際に人と会うことで得られるオフラインな情報を掛け合わせていくことが、より大事になってくるのではないでしょうか。
ありがとうございました。
Panasonic R&D Center Suzhou Co., Ltd.
(パナソニック R&D センター 蘇州(株))
-
特色
新ビジョンとして「くらしアップデート業」を掲げ、未来を見据えた研究開発に力を入れている大手電機メーカーです。「家電」「住宅」「車載」「BtoB」の幅広い分野で、研究開発に取り組んでいます。同社が設立したPanasonic R&D Center Suzhou Co., Ltd.(パナソニック R&D センター 蘇州(株))は、中国市場の変化や最先端の技術を取り入れた研究開発を目的として設立されました。
-
業種
製造・メーカー
-
部署・職種
研究開発
-
主な利用シーン
研究開発におけるリサーチ業務
-
Panasonic R&D Center Suzhou Co., Ltd.
(パナソニック R&D センター 蘇州(株))先行開発室
八田 和洋 様