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無印の中国戦略から読み解く、持続的成長への打ち手

2026年8月7日

近年、国産化が進んでいくことで、中国事業に関わる外資企業にとって、中国市場はもう縮小フェーズに入ったという声が聞かれるようになっています。実際、かつて中国市場で高成長を実現してきたスターバックス、ZARA、カルフールといった外資ブランドは、いま軒並み成長の頭打ちに直面しています。

そのなかで、無印良品(MUJI中国)は数字の上で明確な逆転を遂げました。2019年度に既存店売上高が初めてマイナスに転じ、2022年には前年比11.6%減という過去最低水準まで落ち込んだMUJI中国は、2025年度上期に中国事業の売上を前年比19.3%増まで回復させ、全体売上の17.9%を占める、MUJI全体で最大の海外市場となっています。
同じ市場環境の中で、明確な差が生まれているのはなぜでしょうか。本記事では、MUJI中国の戦略転換を複数の軸から読み解き、外資系ブランドが中国市場で持続的成長を実現するための打ち手を整理します。

現地ブランドの台頭が突きつけた課題

MUJI中国は2005年の進出以来、「ロゴ無し・ミニマリズム」というスタイルで支持を集め、年間30〜50店舗のペースで出店を続けてきました。しかし网易厳選、名創優品、京東京造といった現地ブランドが同様のデザインをより低価格で提供するようになり、市場シェアは大きく圧迫されます。業績悪化を受けて、MUJI中国は2019年、世界で唯一となる現地専属の商品開発・マーケティングチームを設立し、本格的なローカライズ転換に踏み出しました。

複数の軸で戦略転換を展開した無印

MUJI中国の回復は、単一の打ち手によるものではありません。商品・チャネル・価格という複数の軸を組み合わせ、それぞれで現地市場に合わせた再設計を進めたことが、逆転の土台になっています。ここからは、その具体的な内容を軸ごとに見ていきます。

 

戦略1|商品軸のローカライズ化

中国と日本の生活様式の違い(寝具のサイズ、食器の使用習慣など)に着目し、現地開発チームが市場ニーズへの迅速な対応を可能にしました。ペット用品シリーズは半年で全国100店舗以上・150種類以上に拡大し、中国はMUJIとして世界初のペット用品フルラインアップ市場になっています。現在、マネージャー層の98%が現地育成人材、生活雑貨・食品カテゴリーの約70%が現地開発によるもので、サプライチェーンコストの削減と市場対応力の向上を同時に実現しています。

戦略2|チャネル軸の下沈市場・即時小売展開

一・二線都市の店舗網が飽和に近づくなか、MUJI中国は三・四線都市(下沈市場)向けに、通常店舗の6分の1の面積で商品価格の7割を500円(約25元)以下に抑えた小型店舗「MUJI500」を展開し、2027年度までに国内約30店舗の出店を計画しています。同時に、美団・餓了么といったプラットフォームと連携した「即時小売」にも注力し、現在9割以上の実店舗が対応、一部店舗ではこのチャネルが売上構成比の20%を超えています。会員システムとプラットフォームのデータを統合することで、消費者の嗜好分析と精緻なオペレーションを両立させている点が特徴です。

戦略3|価格軸のロイヤルティ強化

現地ブランドが低価格競争を仕掛ける中、MUJI中国は価格自体は現地ブランドより高めに保ちつつ、会員限定の高頻度プロモーション(定番商品で10〜50%の割引)を軸に、コアユーザーの再購入率とロイヤルティを高める戦略を選びました。単純な価格競争を避け、耐久性とコストパフォーマンスを訴求する設計になっています。

(出典 :公表資料を基にSPEEDAが整理)

市場を理解し、勝ち筋を見極める

MUJI中国が実現した逆転は、偶然ではありません。現地の消費構造・チャネル動向・競合の動きを精緻に捉えたうえでの戦略運営の結果です。

中国事業の先行きに不透明感がある状況でも、構造的な戦略転換を的確に見極められれば、持続的成長は再現可能です。その一歩目として、まずは自社の事業領域における市場・競合動向を、精度の高い情報で捉え直すことが必要になります。

思必达(Speeda China)は、こうした「市場・競合動向」を理解するための情報を提供することで、中国市場でのビジネスを支援しています。

思必达について詳しく知りたい方は、ぜひお問い合わせください

なお、本記事は思必达のオリジナルレポート「無印良品の中国戦略、即時配送と下沈市場で巻き返す」の一部です。本編では即時小売市場全体の規模や成長率、下沈市場のデータなどをより詳しく解説しています。思必达ではその他各種レポートをご用意しております。

 

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