アジアを中心にビジネスを拡大し続けているクラレトレーディング株式会社。
貴社の事業に関してお聞かせください。
野口 大介 氏(以下、野口 氏):
クラレトレーディング株式会社は、1961年に設立した繊維・化学メーカー系商社です。親会社は株式会社クラレ(1926年設立)で、100%出資子会社になります。
2021年12月期の連結売上高は1,440億円で、海外では中国本土のほか、台湾、韓国、ベトナムなどアジアを中心に現地法人や海外支店をかまえております。海外売上高比率は年々高まってきており、特に中国市場は売上規模、成長率共に高く、日本本社からも非常に期待されている市場です。
クラレトレーディング上海(可乐丽贸易(上海)有限公司)は、販売会社としてクラレグループの繊維製品および化学製品の輸入販売を中心に展開しています。また、一部の製品については中国現地のOEM工場と提携しながら、加工品の調達・販売を行っております。
私が現在所属しているElastomer部(弾性体部)は、熱可塑性エラストマー(TPE)や液状ゴムといったクラレ エラストマー製品(素材)の輸入販売を中心に行っている部署です。弊部には、現在9人(駐在員1人、ローカルスタッフ8人)が所属しています。我々の主なミッションは、中国市場における幣部関連製品のビジネス拡大です。
中国市場に注力するうえで、どのような戦略を強化されていますか。
野口 氏:
私が所属しているElastomer部では、2000年初頭から中国市場でのビジネスを始めており、20年ほどの歴史を持ちます。7割から8割はローカルのお客様です。お陰様で、中国国内でクラレのブランドを認知してくれているお客様や、長きに渡って幣部の製品を使用されているお客様も増えつつあります。
一方で、さらなる成長を遂げるためには、新たな用途や顧客の開拓も必要です。そのため、既存の顧客とのコミュニケーションを継続しながら、新用途・新市場開拓を行ううえでの最適な施策を日々追求しています。
Speedaの活用でタイムリーに情報を収集。参入チャンスを獲得
中国市場でビジネスを展開するにあたって、どのような情報収集に注力していますか。
野口 氏:
既存の市場では、当然ながら競合他社も同様の動きをしています。一方で、新しい市場では、いち早く目をつけて参入することで、その素材を先行者利益として競合他社よりも高い評価を得ることが可能です。また、それに続く企業は、価格を下げるなど、顧客に対して何らかのプラスの要素を加えなければなりません。
つまり、我々は素材メーカーとして、先行者利益という要素を重要視しています。 先行者利益を獲得するには新しい市場をいち早く見つけ、アプローチすることが不可欠です。
用途によっても異なりますが、中国では法規制の変化が目まぐるしいです。そのため、業界のスタンダードだった材料が、環境規制などの問題によって使えなくなってしまうことも珍しくありません。その変化は、その業界の既存企業にとってはマイナス要素でも、我々にとっては参入チャンスとなるケースもあります。
最も早く見つけた企業が有利に働く世界であるため、出し抜かれてしまうことを防ぐためにも、情報の定点観測や業界トレンドをおさえておく必要があります。
中国の現場での情報収集において、これまでどのような課題がありましたか。
野口 氏:
中国市場には、国の政策による大きなトレンドの変化や産業の目まぐるしい変化など、ほかに類を見ない特色があります。そのため、情報を取得するうえで苦労することも少なくありませんでした。
新用途、新市場の開拓を行うにあたって、ターゲット市場の市場規模や成長性の把握は非常に重要です。また、素材の場合、我々の販売先がエンドユーザーではないことが多く、サプライチェーンを意識した営業活動が求められます。そのため、サプライチェーンの把握も必要不可欠です。
直接人から聞いた情報は正確ではないこともあるため、情報の裏を取る意味でも、多面的に見て下流の情報までつかんでおくことは非常に重要です。
しかし、特に中国では産業変化のスピードや特定市場での新規参入者が多いため、ターゲット市場を的確に捉えることが難しく、頭を抱えることも少なくありませんでした。
今まで手足を動かして行っていたリサーチ業務を効率化
Speeda導入前はどのように情報収集を行っていたのでしょうか。Speedaを知ったきっかけについて教えてください。
野口 氏:
主に新聞を始めとする情報誌やインターネットがメインでした。そのほかにも、顧客訪問を通じて情報のアップデートを行ったり、各地で開催されている技術カンファレンスや展示会に積極的に足を運んだりして、情報収集をしていました。また、主催会社の公式SNSアカウントを頻繁にチェックするなど、地道に情報を集めていました。
今の時代はインターネットが普及しているため、日本にいても精度の高い情報をタイムリーに取得することが可能です。とはいえ、現場にいないと入手できない情報もあります。実際に、日本で取得した情報と事実が異なっていることも少なくありません。
そのため、中国で正しい情報を収集して本社にフィードバックし、その情報の真偽をしっかりと見極めて伝えることが、我々現地法人の大きな役割のひとつであると考えています。
Speedaを知ったきっかけについて教えてください。
野口 氏:
もともと上海で行われた日系企業同士の交流を通じて、1〜2年前からSpeedaの存在は知っていました。その後、縁あって昨年夏頃からSpeedaのオンラインセミナーの案内をいただくようになったんです。
当時、弊部では「マクロの情報をスピーディーに仕入れる」という課題を抱えていたため、早速セミナーに参加させていただきました。セミナーでは、タイムリーな情報や最新トレンドをわかりやすく解説していただき、大変印象的でした。
このような経緯があり、会社と相談しながらトライアルの参加を決めました。その後、昨年10月に正式契約をさせていただき、現在も頻繁に利用させていただいております。
コストパフォーマンスと情報の質の良さが導入の決め手に。
導入の決め手となったことがあればお聞かせください。
野口 氏:
導入を決めた理由は、中国マクロ情報に関する有益な情報に、お手軽な価格でアクセスができることです。また、「中国での市場動向や市場トレンドに詳しくなりたい」というニーズを満たすことができる、利便性の高いツールであると感じました。
例えば、コンサルティング会社に何かフィールドリサーチを含めたコンサル業務をお願いすると、大変なコストがかかります。その点、Speedaはお手軽な価格である一方で、有料に相当する情報の良質さを感じることができました。
また、中国のマクロ事情、素材業界、川下の電気自動車など、多岐にわたって網羅できている点も魅力です。Speedaは各種産業で話題となっているキーワード(NEV、カーボンニュートラル、環境規制等)に沿ったレポートも多いため、レポートを通じてその言葉(キーワード)だけでなく、背景、現況、展望を把握できることが非常に便利だと感じています。
販売部署の弊部にとって、情報データベースの入り口としては、コスト面でも情報の質の面でも非常にバランスが取れていると感じたため、導入を決めました。
Speedaの導入で得られた成果についてお聞かせください。
野口 氏:
「中国における生分解プラスチック市場」「新素材業界調査レポート」「中国カーボンニュートラル戦略」など、さまざまなレポート資料を拝見させていただいたのですが、どれも市場のトレンドを把握するうえで非常に参考になりました。
我々も繊維・化学といった素材を扱う立場として、素材に関連する情報には特に関心を持っています。また、同時に幣部では、近年非生分解性バイオ(非石油)系の素材にも注力して販売促進活動を行っています。そのため、レポートやセミナーを通じて、業界全体の動向や同業他社の状況などを把握できることは、非常に有益です。
営業でも、非石油系を用いた製品を販売するうえで一体どこが競合になり得るかなど、Speedaのサプライヤー情報を見てベンチマークを設定しています。また、その情報を起点に、さらに深く掘り下げていく形です。
Speedaでは、サプライチェーンに関しても詳細に記載されているため、次にアプローチする顧客へのきっかけ作りにもなっています。
信頼性の高いデータで、説得力の弱さを解消。本社の満足度も向上
Speedaをご活用いただく中で感じている価値などがあれば教えてください。
野口 氏:弊部では、定期的に日本本社の販売部門や研究開発部門と会議を行っています。中国の市場や政策の動向などは、会議中に最も求められるテーマのひとつです。
例えば「カーボンニュートラルってどうなの?」など、大きなテーマに対し、ざっくばらんに質問されることも珍しくありません。そんなときはSpeedaで必要な要素をいくつか抜粋し、概要をまとめているのですが、お陰で本社にも非常に満足してもらっています。
また、カスタマイズドリサーチ、規制、インサイトをはじめ、Speedaで定期的にアップロードされている各種レポートは、毎回興味深く拝見させていただいております。その他頻繁に開催されるオンラインセミナーに関しても、スケジュールの都合がつく場合は、できるだけ参加するようにしています。
そこで得られた情報を資料にまとめて発表しているのですが、今までは情報ソースが限定されていたため、説得力が弱いことが課題でした。しかし、導入後は資料の説得力やデータの信頼性の向上を感じています。
中国におけるマクロ経済情報や各種経済指標においては、データの入手は比較的容易ですが、産業別の動向に関して正確な情報を得ることは、特に我々日本人(外国人)にとっては簡単ではありません。しかし、Speedaでは日本語で中国市場の俯瞰的な情報にアクセスできるため、この点においても非常に助かっています。
オンラインセミナーにも積極的に参加。他部署の部長にもシェア
特に気に入っている機能やサービスなどがあれば教えてください。
野口 氏:
私が非常に興味深いと感じているのは、Speedaのオンラインセミナーです。
実は、普段私が参加させていただいているセミナーの多くは、自分の業務に関連するものではありません。それらに参加している理由としては、一見関連性がなさそうな業界でも、後々間接的にリンクしてくることもあるためです。
そのため、色々な領域にアンテナを張っておくことは非常に重要だと考えています。例えば「中国のDX事情」など、事業に関連性のないトピックのセミナーにも、時間が許す限り参加させていただいています。
日々業務の中で、なかなか時間を割いて能動的に情報を探りに行けないことも多い中で、定期的にニュースやセミナーのお知らせを送信してくれることによって、顕在化されていなかった興味・関心を引き出してもらっています。
オンラインセミナーは非常に参加しやすく、有益な情報も多いため、面白いセミナーなどを見つけた際は、ほかの部署の部長にも転送しています。
また、業界レポートも非常に重宝しており、情報が1から100まで詳細に書かれているため、我々の知らない分野や業界に関しても理解を深めやすく、大変気に入っています。
今後の事業展望を教えてください。
野口 氏:
素材を扱ううえで特異なのは、我々が想定していた用途と異なる使い方をされる可能性があることです。そのため、我々は色々な分野やタイプのお客様にコンタクトをとる必要があります。このように事前リサーチを行ううえでも、Speedaの存在は今後も不可欠です。
そのため、引き続きSpeedaから提供される鮮度の高い情報を見逃さないよう、アンテナを張っていきたいと思います。レポートの拝読やオンラインセミナーの参加はもちろん、より掘り下げたいときはカスタマイズドリサーチサービスも積極的に活用しながら、事業に役立てていきたいです。
ありがとうございました。
クラレトレーディング上海
可乐丽贸易(上海)有限公司
-
特色
繊維素材や繊維製品、樹脂、化学品を筆頭に、幅広い高機能素材を販売しているメーカー系商社、クラレトレーディング株式会社。1961年に設立された同社は、現在国内だけではなく中国、韓国、ベトナムをはじめ、アジア全般で事業を展開しています。中でもクラレトレーディング上海(可乐丽贸易(上海)有限公司)は、繊維製品や化学製品の輸入販売を中心に展開し、一部中国現地のOEM工場と提携しながら、加工品の調達・販売を行っています。
-
業種
専門商社
-
部署・職種
営業・マーケティング
-
主な利用シーン
最新動向・トレンド、業界分析、レポート作成、企業調査・分析、営業マーケティング戦略策定、競合比較、政策動向
-
クラレトレーディング上海
可乐丽贸易(上海)有限公司Elastomer(弹性体)部
部長 野口 大介 氏