SPEEDA

「SPEEDAはユーザー視点の情報収集プラットフォーム」
スピーディーな情報と俯瞰した情報で、
激変する市場を開拓する新事業推進室での活用事例

スマート製造の専門商社における活用

ミスミ中国

User's Voice

新規事業の開発・推進を効率的に支援。ミスミ中国「思必达/SPEEDA」導入事例

中国大陸において年間約7万社もの顧客への販売実績を持つ、株式会社ミスミグループ。3C製品(コンシューマエレクトロニクス)、自動車・EV、医療、半導体、新エネルギーなど、幅広い分野で事業展開している同社の中国拠点、ミスミ中国(中国名:米思米(中国)精密机械贸易有限公司)は、中国市場で中国企業を相手に事業を拡大し続けています。

新規事業展開を行うにあたって、マーケットの俯瞰的な情報収集に経済情報プラットフォーム「思必达/SPEEDA」を活用している同社。中国市場で戦っていくために必要な事業戦略を進めるにあたって、どのような情報収集をしているのか。ミスミ中国の新事業推進室 GM 内田誠 氏と部長 李 嘉楽 氏のお2人にお話を伺いました。

サマリー

  • 非常に変化が速い中国市場において、ミスミ中国新事業推進室では、意思決定や判断を瞬時に行うべく、スピーディーな情報収集に日々努めている。
  • 新規事業や新規参入を検討する場合に、俯瞰的な情報や最新の市場動向のインプットなどに活用。
  • 短期間で業界動向や主要プレイヤーを調べるのに便利で、ミスミ中国の新事業推進室には有効なツールと評価。
  • 分散した情報収集から、より効率的でスピーディーな情報収集を実現。オフィスでのデスクワーク時間を短縮し、フィールドワークに時間を割けるように。
  • SPEEDAの情報は、業界やトレンドなどについて俯瞰した観点でわかりやすく網羅された解説があることに加えて、今後の方向性などの結論がまとまっている点で他のツールと違った価値がある。
  • 「ユーザーがなぜその数値を見たいのか」といったニーズを、きちんと想像してまとめてくれている。SPEEDAは「一方的」な情報ではなく「ユーザー目線」の情報プラットフォーム。

競争が激化しているスマート製造の中国市場で存在感を発揮し続ける、ミスミ中国

貴社事業についてお聞かせください。

内田 誠 氏(以下、敬称略): 弊社は製造業の現場を支える企業として、製造業向けの金型やFA(自動化生産ライン)の部品、工場の消耗品を中核に、企画・製造販売または調達・販売を行なっているメーカー兼専門商社です。

ミスミでは時間価値の創出に注力しています。

弊社でQCTモデルと呼んでいますが、

Q:商品の精度や寿命が優れており入荷検品の手間を削減でき、また何万個あっても商品間のバラつきが少ないため高精度の装置組立時にも微調整の手間が省ける
C:1個でもご注文頂ける価格面でのメリットだけでなく、お客様の間接業務の手間(=社内コスト)削減に貢献する、各種Webサービス・CADサービスのご提供
T:納期遵守率99.98%の確実短納期に加え、大都市圏では自社配送で受注から4時間以内に商品をお客様の手元までお届けする即納体制や、顧客の工場内に自販機を設置し待ち時間をゼロにする新サービス

などが優位性となっています。
お客様の手間や負担を少しでも軽減し、業務時間の短縮に貢献したいと考えています。

新事業推進室はどのような役割を持っていますか

内田氏: ミスミの既存事業、すなわち金型/自動化設備/工場消耗品の部品・商品単品を型番販売する事業ドメインの枠にとらわれない新規事業を創出することがミッションです。21年4月に新設した部署で、市場調査で終わらず事業化まで責任を持つ専任体制にて日々奮闘しています。

変化が速い中国市場で勝ち続けるべく、SPEEDAで新規事業開発のための情報収集を効率化

中国市場で勝負するにあたって、意識されている点があればお聞かせください。

内田氏: ミスミは日本発のブランドですが、ミスミ中国は中国企業として中国製造業の成長、Made in Chinaの価値向上に貢献する事を意識しています。そのため中国系顧客の声に基づく新商品の開発、更に幅広く声を集めるための中国系顧客開拓の速回しが課題です。

これまで中国は、精密部品や生産装置は海外からの輸入に頼り、最終製品の組立・輸出で成長して来ました。しかし、今や中国では精密部品も生産装置も国産化が急速に進んでいます。日本の自動化市場に合わせて企画した商品の中国現地調達だけでは中国の顧客ニーズに応え切れなくなっており、今後の中国系顧客の世界展開を見据えミスミの他海外現法への輸出を意識して商品開発に臨んでいます。

新事業創出においても、この視点を持ち取り組んでいます。

具体的に、中国市場の特徴とは何でしょうか。

内田氏: まず、中国市場の大きな特徴として、お客様は非常にコストに厳しいです。「品質の良い物を安く」というより、「使用上ちょうど良い物を徹底的に安く」といえます。またB2CのモバイルECに代表されるように「その場ですぐ買える」に慣れており、B2Bと言えど説明書を見ないと使えない分かりにくいものは避けられる傾向があります。

製造業の自動化市場においては、日本では自動車業界から自動化がスタートしていることもあり、設備の使用期間が長く、設備部品1つ1つにも剛性・耐摩耗性などが要求されます。一方中国はスマホなど製品ライフサイクルが短い小型電子機器の組立産業が自動化需要を牽引しており、設備も短期間で更新されるため、設備部品には寿命よりも低価格が要求される傾向があります。

つまり、日本市場向けに企画・開発した部品は、中国ではオーバースペックで高価格になってしまう事があります。中国では中国での使用にちょうど適した品質で、かつ安い・速い・分かりやすい、が求められているというのが大きな特徴です。

ミスミ中国はこれまでにも多くの新規ビジネスを生み出していますが、中国事業において新規事業開発はどのような価値や意味を持っているのでしょうか。

内田氏: 製造業に限らず様々な業界で起きている中国国産化の流れの中で、ともすると「ミスミは日本の製品やビジネスモデルを持ち込み、中国のお客様にも日本流で対応する企業」と認知されてしまいますが、「中国市場の、中国のお客様の声を聴いて、中国で商品・サービスを開発し、中国製造業の発展に貢献している会社だ」というブランディングをしていくために、新規事業開発は非常に重要です。

また社内的には、ミスミグローバルにおける中国市場/中国事業の相対的重要度の高さを認知頂き、意思決定を早めリソースを獲得するためにも、「中国から新しいもの生まれ続ける」「中国で社員が育つ」という実績作りは重要です。

中国市場での、中国事業の拡大における情報収集の重要性についてお聞かせください。

内田氏: 中国製造業の自動化・スマート化は成長段階であり、非常に変化が速く、業界への新規参入・技術進化、競合の成長が凄まじいスピード感で起きています。

そのため、日々強烈な危機感に突き動かされ、お客様の声、顕在/潜在競合の動向、中央政府の方針、製造業関連の政策、業界団体の方向性などの情報を収集し次の一手を考え続けています。

中国では、体感的には2年サイクルで市況が大きく変化し、戦略を常に見直さなければ市場動向とマッチせず時代遅れになります。そのため日々外部環境の変化に神経を尖らせておく必要があります。戦略の修正、あるいは顧客のニーズ変化に対応する新サービスを生み出す意思決定をスピーディーに行うためにも、日々の情報収集は欠かせません。

主にどのような情報の収集を行なっているのでしょうか。

内田氏: 中国製造業の課題を解決するための事業開発という観点で情報収集を始めました。情報収集の8割は、スマート製造業界における新技術を保有するスタートアップや、自動化・スマート化を進めようと考えている製造業への対面でのインタビューです。

私も李も、従前は既存事業部の経験が長く、「この課題は業界全体で普遍的な物だろうか」「この新技術は本当に課題解決に役立つだろうか」という目利きを自分で行います。それにはやはり現場の生の情報が重要です。

対面インタビューの準備段階ではSPEEDAを活用したデスクリサーチも行っています。

SPEEDA導入前の課題についてお聞かせください。

内田氏: SPEEDA導入以前にも、中国製造業の発展を様々な角度から俯瞰する統計データや関連データを調査する機会がありましたが、毎回手間と費用がかかっていました。

例えば中国国家統計局や商務局のウェブサイトで簡単に入手できると思っていたデータが実際にはあちこちに散らばっていたり、まとまった形では2年前の統計しか入手できなかったり。それらを自力で探し、確認するのは大きな手間でした。

ソースが異なると数字がばらついている事も多く、それぞれの元をたどって確認するのも時間を要していました。

しかし、SPEEDAでは統計情報がズラっと一括で表示され、欲しい情報にすぐたどり着けるため、時間の節約になり非常に助かっています。

また、特定業界ごとの情報をまとめた統計年鑑のようなレポートも、購入するまで何が書かれているか分からず、「欲しい情報に近いが、これではない」という事も起きていましたが、SPEEDAでは業界別のレポートが無料で活用できるので助かっています。

本導入前のトライアルの実施の中で、SPEEDAに対する印象はどのように変わりましたか。

内田氏: 以前からSPEEDAは知っており、統計情報の入手に便利である事は知っていましたが、中国では統計情報の入手に時間を有するので、その価値は日本以上に高いと感じました。実際にトライアルをしてみて、統計データの入手の速さは期待通りでした。

また新規事業推進室が対象とする事業領域がニッチで、かつ中国ではまとまった信頼性の高い情報が取りにくいのですが、SPEEDAで用意されている業界別のレポートが参考になる事も分かりました。また、業界に関する最新のニュースやトレンド情報がまとめて入手できる点は期待以上でした。

SPEEDA導入以前は、ニッチな業界の調査は、調査会社に個別のプロジェクトとして依頼していました。そのため、今回の導入時には敢えてほかのツールと横並び比較はせず、SPEEDAで良さそうかどうか、が判断のポイントでした。

新設の新事業推進室では継続的に調査ニーズがある事から、改めてトライアルにて上記確認し、正式にSPEEDA導入に至りました。

トレンドや業界の素早い情報収集が可能に。「SPEEDAの情報はユーザーのニーズをきちんと理解してくれていると感じた」

中国でのSPEEDAの活用は、御社の事業開発にどのように役立っていますか。

内田氏: 特定技術分野の市場概観、主要参入企業の調査、最新トピックの把握などのデスクリサーチに活用しています。情報収集の8割は対面インタビューですが、その事前準備や、一通りインタビューを終えた後に改めて業界情報を俯瞰するのに役立っています。

欲しい情報があるときは、トップで検索キーワードを入れるだけで、サッと調べられるのが非常に便利です。国家統計局のサイトでは散らばっていた情報も、SPEEDAではまとめて入手、ダウンロードすることができます。

また、比較的ニッチな業界についても、適度なボリュームでポイントが整理されたレポートが用意されており重宝しています。実際、バイオプラスチックに関するレポートの図表を、社内で環境対応の取組に携わっているメンバーに展開したところ非常に好評でした。外部シンクタンクのレポートを購入しなくても情報入手できるのは良いですね。

また、在中企業ターゲティングリストなどを活用させていただいているのですが、市場規模や企業の概要、産業に参入したばかりのスタートアップ企業の把握など、俯瞰した情報を素早く確認するのに使っています。

他にも、中国のニッチな業界のレポートを日本語で読めるというのが非常にありがたいです。このようなマクロ統計から業界動向、企業リストまで、情報の網羅性がSPEEDAの強みではないでしょうか。

まとめると、本来SPEEDAを使えば短時間で終わる作業に、以前であれば半日かかってしまっていた事もありましたが、今ではリサーチ時間が半分に減った上、関連するニュースや業界レポートの情報も合わせてインプットできるようになりました。

李 嘉楽 氏(以下、敬称略): SPEEDAのレポートは俯瞰性に加えて、結論がまとまっている点で大変重宝しています。

初めて調べ始めた分野、例えばAR/VRといった業界においても、参入企業情報、業界トレンド、今後の方向性までを一気に読むことができ、短時間で網羅的に情報を把握できました。ミスミは広く製造業の顧客基盤がありますが、接点の無かった業界・企業も訪問先の候補として開拓することができました。

業界レポートについても単にデータをまとめて記載してあるだけではなく、「ユーザーがなぜその数値を見たいのか」といったニーズを想像してまとめてくれているのが伝わって来ました。

”SPEEDAは「一方的」な情報ではなく「ユーザー目線」でわかりやすく、結論まで網羅的にまとまっている情報プラットフォーム”

他サービスと比べて、SPEEDAはどのような情報プラットフォームでしょうか。

李氏: 他の中国のプラットフォームで情報収集する事もありましたが、ニュースやレポート表示が「一方的」な印象がありました。

また、肝心な結論の部分は有料になっていたり、検索結果に広告が多数含まれていたり、と探したい情報になかなかたどり着くことができませんでした。

一方で、SPEEDAは非常にユーザー目線で、結論も必ず掲載されているため、とても参考になります。

内田氏: 対面インタビューでは現場の生の情報、個の情報を収集しますが、SPEEDAはスマート製造の比較的ニッチな分野を俯瞰するのにちょうど良い情報プラットフォームだと感じています。マクロとミクロの間くらいの情報を効率的に俯瞰でき、ありふれた統計よりも一段階踏み込んだ情報を知ることができるという点で、他サービスとの違いを感じます。

今後、SPEEDAは貴社事業の展開にどのようにお役に立てるでしょうか。

内田氏: 新規事業を創出するには、社内で知見が蓄積されていない分野にチャレンジし続ける必要があり、そのたびに特定分野の俯瞰的な情報収集や最新の市場動向のインプットなどに重宝していきたいと思っています。

また中国ではよくお会いするのですが、私のように社内で既存事業から新規事業担当になり、新分野について短期間で把握する必要が生じた方や、中国市場の最新のトレンドを把握したい企業にとっても、短時間でのデスクリサーチや現場に出る際の事前準備として、非常に有用なのではないでしょうか。

ありがとうございました。

米思米(中国)精密机械贸易有限公司

www.misumi.com.cn
  • 特色

    中国大陸において年間約7万社もの顧客への販売実績を持つ、株式会社ミスミグループ。3C製品(コンシューマエレクトロニクス)、自動車・EV、医療、半導体、新エネルギーなど、幅広い分野で事業展開している同社の中国拠点、ミスミ(中国)精密機械貿易有限公司(中国名:米思米(中国)精密机械贸易有限公司)は、中国市場で中国企業を相手に事業を拡大し続けています。

  • 業種

    製造業

  • 部署・職種

    新規事業開発

  • 主な利用シーン

    新規事業開発におけるリサーチ業務

  • 米思米(中国)精密机械贸易有限公司

    新事業推進室 GM

    内田誠 様

    新事業推進室 部長

    李嘉楽 様